乗鞍岳 山スキー
【山域】 北アルプス南部 (長野県)
【日時】 2006年 1月8日 (日)
【コース】 乗鞍高原温泉スキー場〜位ヶ原〜大雪渓〜肩の小屋直下300mにて悪天撤退
【メンバー】 野人(単独)
【装備】 ダイナスター・LEGEND 4800 165cm、フリッチ・ディアミール
エキスプローラ、ノルディカ・TR12
【天気】 地吹雪、ホワイトアウト
年始の仕事が予定より早く片付いたので、正月に行けなかった信州遠征に出掛けてきた。
コースを研究する時間も無かったし、この大雪の中で単独でハードなコースに行くのも無謀なので、ガイドブックで紹介されている入門コースを幾つかピックアップ、場所や順番は到着時間や天候で臨機応変にその時に考えることにして、1月7日土曜日の23時過ぎに倉敷を出発、長野県に向かった。
長野まで運転を徹夜で頑張ったが出発時間も遅かったので、8日は長野県でも西部のこちらに近い乗鞍岳に登る事にした。
天候は明日は高気圧に覆われ期待できるが、今日はまだ冬型の気圧配置のようだ。でも、西から等圧線は広がっていく様子なので北アルプスでも南部の乗鞍岳ならと少しは期待していたのだが、さすがに3000m級の山の気象条件は厳しいものであった。
天候があいまいな今日乗鞍を選んだのは、過去に5月に山スキーに来た事もあるし夏に頂上にも立っているので、天候が保障されている明日はせっかくなので初めての山に登りたかったのもあった。
6時半頃に乗鞍高原スキー場、国民休暇村に到着。とても眠いが仮眠する程の時間は無い。装備も適当に車に放り込んで来てパッキングや、朝食、色々と準備をしなければ・・・
8時にリフト乗り場に行ったが、運転は8時半からで隣のレストハウスで休憩、30分だけだがボーと過ごせた。
8時半リフト運転開始、3本乗り継いでスキー場トップの標高2000m。シールを貼っていると山スキーヤーや山ボーダーが5,6人上がって来る。
9時、スキー場トップ出発。切り開きの樹林帯を登る。単独行者が1人先行していたが、追付きそうで追付けない。暑くなって服を脱いだりと・・・。それに歩いていても寝てしまいそうな睡魔にも襲われる。
3日程前に風邪をひいて熱は下がっているが体調もあまりよくないのであった。山で風邪は治すと意気込んで来てみたのだが(笑)
だんだんと新雪が深くなり多少ラッセルになって来た為か先行者のペースが下がり、位ヶ原への急斜面でやっと追付いた。
ラッセルを交代しなければとも思い、挨拶をして話していると大阪の方で山スキーMLのメンバーでありザックはOSPRAY SWITCH 25+5を背負っておられたので早川さんと御一緒させて頂いた白山の初滑りの件を話したところ、このHPも知っていてくれて嬉しかった。
彼は休憩するとの事で先に行かせて貰った。この急斜面を最後は直登は無理でジグをきって登り、位ヶ原の台地に到着。下を振返ると先程の彼ともう1人別の後続も登って来ていた。
位ヶ原への登り |
松本市 大雪渓 |
10時20分、位ヶ原に達する。位ヶ原下部の視界は100mは利き道しるべの竹竿も確認できたので、先頭でも不安は無かった。
11時、標高2600mの車道と交わる標識の場所に到着。「松本市 大雪渓」記念に写真をといつもの一眼レフのデジカメを取り出したが寒過ぎてバッテリーが弱って電源が入らない。カメラ付携帯電話の方は何とか作動した。この先は急速に視界が悪くなり激しい地吹雪にもなって来た。もう誰も登っていない。頂上は無理でもせめて肩の小屋までとは頑張って登っていたが、いつの間にかもう完全にホワイトアウト。
11時30分、GPSで確認して肩の小屋まであと300m、標高2700m地点にて、このまま進むのは無謀と感じ撤退を決意する。たった300mが進めない・・。シールを剥がして滑降に移る。視界不良は足元もまともに見えない状態に悪化。斜滑降やボーゲンでも転んでしまう始末だった。
11時40分、極めて視界が悪い中単独でとても不安であったが何とか位ヶ原上部まで下山。50m程に視界も回復して、人にも会う。
ここから下はやっと滑降を楽しむ事が出来た。でもワックスが合っていないせいか滑りは悪い、あまり斜度もないし・・・(だから雪崩の心配は無いのだが)
12時20分、スキー場トップ到着。ゲレンデを快適にと思ったが、上では緊張で気付かなかったが寒さで足の裏が麻痺していて思う様に滑れなかった。
下山して鏡を見て、驚いた。顔面が軽度の凍傷になってしまっていた。かなり辛い状態を我慢していたのは確かだが、感覚的には悪天候の大山とあまり変わらなく感じていたが、実際はかなり厳しい状態だったのである。上では余裕が無く温度計の確認も忘れていたが下部の樹林の切り通しで−15度だった。撤退地点では風が10m以上は吹いていたと思うので、体感温度は −30度 近かったと思われる。フードを被っていたが覆われていない口の周りの皮膚が日焼けしたように黒く変質していた。
アプローチが簡単な乗鞍岳だが北アの3000m峰、天候次第では易しい山ではやっぱり無いのであった。
標高差700m登っただけで 行動時間も 3時間半程だったが、色々と勉強になった山行だった。