山小屋での食事は久し振りで、立派な美味しいご飯に驚いた。しかし、斜め前に非常識極まりないおっさんが座っていた事だけが、汚点であった。おっさんは食事が始まって直に自分のテルモスに小屋のポットのお茶を注入していていたが、私はさほど気にもしていなかった。大分経って私はお茶を飲む為に、湯飲みにポットのお茶を注いで、ポットの蓋を閉めていたら、いきなり、おっさんにポットを引ったくられた。私はビックリしたが「気が小さい?」のでおっさんを見ないようにしていた。暫くして、隣に座っていた同室の紳士が、おっさんを注意した。どうしたかと言えば、おっさんは再びポットにお茶を注入していたのだ。前回のはぬるかったしく、すぐさま自分のテルモスに注入したお茶を小屋のポットにフィードバック。小屋番にクレームを付けて新しいのを持って来て貰い、入れ替えていたのだ。新しいお茶を、何も知らなかった私が、先に湯のみに注いだのが癪に障ったのだろう。紳士に注意され、逆切れして「ここはテルモスに注いでも良いのだ!偉そうに何・・・」と、のたまい始めた。とっさに紳士は「そうですか。済みません。」と謝っていたが、しつこく怒っていた。私も言いたかったが、この年になってこんな人間に今更何を言ってもどうしようも無い。触らぬ神に崇り無しだ。

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