四ツ岳 北面 山スキー

【山域】 北アルプス南部 (岐阜県)
【日時】 2013年 1月4日(金)
【コース】 平湯キャンプ場〜大滝川徒渉〜四ッ岳北面台地〜四ッ岳 往復
【メンバー】いの、ドロップ、野人
【装備】 いの バンディットB3・176cm・TLT・ダイナフィット
        ドロップ スプリットボード
        野人 バンディットB94 リスペクト 168cm・ディアミール エキスプローラ・ガルモント・RADIUM

【天気】 雪 後 曇り

2007年初挑戦して2400m地点で敗退。 2010年には大雪警報直後に胸ラッセルでお話にならない事もありました。 6年を経て、やっとのリベンジでした。




5時40分 暗闇をヘッドライトでスタート




大滝川渡渉ポイントへダウン



渡渉ポイント選定中






北面台地に乗り上げて森林限界までひたすらラッセル








森林限界に近づき、ヘルメットの下に目出し帽、ゴーグルで武装する。
気温低下で自分のカメラは使用不可能になった。



岩峰を左から巻いて沢状地形から左の尾根との鞍部の稜線に乗り上げる。

稜線直下はクラストして最後は50度近い斜度で滑落の恐怖に怯える。
ここが登りの核心部だった。

クトーを利かせ、手はウィペットを突き刺しながらギリギリスキーで登り上げたが、ここはスキーを背負いアイゼンで登るのが賢明だった。
稜線に出たら出たで風が強く倒されそうになるのを必死に堪えた。
クラストというより完全に氷化してアルミのクトー(スキーアイゼン)は爪がほとんど刺さらず、サイドの曲げ部分がくにゃっとしわる。
平坦になったので滑落の恐怖からは解放されたが、三重の手袋を嵌めていたがウィペットを掴んでいた手が刺すように痛い。
凍傷になるかと思い、胸元に手を入れて必死に指を動かしたら痛みが和らいだ。






厳冬期の3000m近い稜線上はすごい世界


風と岩を避けて沢の中を登って行く


13時10分 頂上 スタートして7時間30分 長かった


−20℃
風を考えれば体感温度は−30℃か?
岩の影で風を凌ぎながら滑降の準備をする。
それでも寒くて寒くて耐えられなかった・・・






滑降は北側のカール地形へ
四ッ岳といえばここを滑らなければ悔やまれる。
斜度はさほど無いといえ氷化したカリカリのアイスバーン。
最初は横滑りで降りるしか無かった。
チュ−ンナップ仕立てのギンギンのエッジなのでなんとか食い付いてくれた。
しかし、いのさん滑落。(エッジが丸かったらしい)
幸い10m程滑って窪み状の吹き溜まりで停止。

その直後はスプリットボードのドロップさんも滑落。
同じように直ぐに止まったが、持っていたストックが流されてしまった。
下にいた自分がそれを止めようとしてバランスを崩して転んだ。
比較的柔らかい位置に停止していたので滑落は免れた。

かなりヤバイバーンだ。
メンバーそれぞれ大山弥山沢や奥穂直登ルンゼなど体験しているから冷静に対処出来たとは思うが、経験が無ければ精神的にもきつかっただろう。
エッジが一本のボードはアイスバーンにはスキーより不利。
経験豊富なドロップさんだからスプリットボードでスキーと一緒に行動出来ているが、それでも待つことはかなり多い。
付き合いの長い彼で無ければ、こんな山ではボードとは一緒に行動したくないのが本音だ。


徐々に雪が柔らかくなり、緊張から解放される。



いつまでも滑り降りたい広い沢地形だが、帰りを考え登った台地へトラバースして行く。

2400m付近 支尾根を越えて急斜面を滑り降りると、山頂方面に一瞬青空が広がった。




樹林に入る


樹林は極上パウダー




最後の難所 大滝川渡渉

登りは3人別々のポイントで渡ったが(それぞれ単独でも山に入るメンバーだから自分を信じるんでしょうね)
協議の結果ブリッジが繋がっていたドロップさんのポイントを渡る。
前後に段差が有りツボ足では、2人目のいのさん危うく水没直前。
3人目の自分は膝を付き接雪面積を広げハイハイ歩行で(笑)



16時40分 下山

40代中年3人組

感無量の四ッ岳だった。
貴重な体験を今後に生かしたい。


ドロップさんのレポ


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